Webサイトからの問い合わせを増やしてほしいと言われ、SEOを任された。けれど自社の商材は会社向けで、検討に何か月もかかり、社内の何人もが関わって決まります。よく聞くSEOのやり方が、BtoBのSEO対策にそのまま当てはまるのか判断がつかない。記事を増やしても問い合わせは増えず、月に数十回しか検索されない言葉を狙ってよいのかも決められない。そんな状態ではありませんか。
この記事でわかること
- BtoBとBtoCのSEOの違い
- BtoBのSEO対策の進め方8ステップ
- 受注に近いキーワードの選び方
- 商談・受注までの成果の測り方
- 自社でやるか会社に頼むかの決め方
BtoBのSEO対策とは
BtoBのSEO対策とは、取引先になる会社の担当者が調べる言葉で検索結果に出て、商談につなげる取り組みです。仕事の課題や依頼先を調べる担当者に自社のページを見つけてもらい、資料請求や問い合わせへ進んでもらいます。目指すのは訪問の数ではなく、商談の場に来る見込みの顧客と出会うことです。
SEOそのものは、Googleなどの検索結果で自社のページを見つけてもらい、訪問につなげる取り組みを指します。広告枠を買うのではなく、ページの中身を検索エンジンに正しく理解してもらいます。そのうえで、広告でない検索結果に表示されることを目指します。BtoBで変わるのは、誰が、どんな言葉で、何度に分けて調べるかです。
BtoBでSEOが要る理由
BtoBの担当者は、営業に連絡する前に自分で調べ、候補を比べてから問い合わせることがあります。検索結果に自社が出なければ、比べる候補に入る前に外れます。
SEOが要る理由は、次の3つです。
- 問い合わせの前に調べる:課題の原因、解決の方法、依頼先の候補を、担当者が自分で検索して集めます。営業が会うときには、候補が絞られていることもあります
- 担当者と決裁者が別に調べる:現場の担当者は使い勝手や手間を、決裁者は費用と効果を、それぞれ別の言葉で調べます。立場ごとに答えるページがあると、社内の検討の場で自社の名前が挙がりやすくなります
- AIの答えも検索のページを使う:Googleは、検索結果に出る「AIによる概要」の対象を、インデックスに登録され、検索結果に説明文(スニペット)を出せるページとしています。検索で読まれるページを整えることが、AIの答えに出る前提になります
広告や営業との違い
SEOは成果が出るまでに時間がかかる代わりに、作ったページが検索結果に残り、見込みの顧客を集め続けます。広告は出した日から表示されますが、費用を止めると表示も止まります。
| 方法 | 成果が出るまで | 止めたあと | 費用のかかり方 |
|---|---|---|---|
| 検索広告 | 出稿した日から表示される | 表示が止まる | クリックに応じた広告費 |
| テレアポ・展示会 | 接触した日から話せる | 新しい接触が止まる | 人の時間と出展の費用 |
| SEO | ページが評価されるまで時間がかかる | ページが残り、検索され続ける | ページを作る人の時間か、外部への委託費 |
SEOには、ほかの方法に無い良さが3つあります。
- 課題を持つ人に会える:その言葉で検索するのは、課題をすでに自覚している人です。営業が1件ずつ探すより、相手のほうから来てくれます
- ページが残る:作った記事やサービスページは、営業がいない夜や休日にも読まれます
- 比べる候補に入れる:「比較」や「料金」の言葉で上に出ると、担当者が作る候補の一覧に自社が入ります
SEOが向く会社・向かない会社
SEOが向くのは、顧客が課題や依頼先を検索で調べる商材です。自社のサービスの一般的な名前で検索してみてください(たとえば「勤怠管理システム」「産業用ロボット 導入」)。同業のページや比較サイトが並ぶなら、検索で調べる顧客がいます。
次に当てはまる場合は、SEOを後回しにして、ほかの方法を先にするほうが合っています。
- 取引先が数社に決まっていて、新しい相手を探していない
- 紹介や入札だけで発注先が決まる
- 来月の商談の数をすぐに増やす必要がある
SEOには弱みもあります。始める前に、社内で次の4点を共有してください。
- 狙える言葉が少ない:専門的な商材ほど、検索される言葉の種類が限られます
- 時間がかかる:ページを公開してから、検索結果で評価されるまでに時間がかかります
- 続ける人手が要る:記事を書く人、数字を見て直す人が、毎月必要です
- 情報が古くなる:料金や機能、法律が変わると、ページを書き直す手間が出ます
BtoBとBtoCのSEOの違い
BtoBのSEOは、BtoCより検索数の小さい言葉を狙い、立場の違う複数の人に向けてページを用意します。成果は、購入ではなく問い合わせや商談で測ります。
| 項目 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| ターゲット | 会社の担当者と決裁者(複数人) | 個人(本人や家族) |
| 検索意図 | 仕事の課題を解く方法と依頼先を探す | 欲しい物や行きたい場所を探す |
| 検討期間 | 社内の稟議を通すため長くなりやすい | 短く済むことが多い |
| キーワード | 専門的で、検索数が小さい | 日常の言葉で、検索数が大きい |
| 成果の地点 | 資料請求・問い合わせ・商談 | 購入・予約・来店 |
| 1件の重み | 1件の受注が大きい | 1件ずつは小さく、数を積む |
検索数の小さい言葉を狙う理由
BtoBでは、月に数十回しか検索されない言葉でも、そこから1件の商談が生まれれば成果になります。1件の受注額が大きく、契約が続く商材も多いためです。
一般的な言葉に「BtoB」や業種名、課題を足すと、検索する人は減ります。その代わり、検索した人の課題ははっきりし、上位を争うページも少なくなりがちです。
狙うかどうかは、検索数ではなく「その言葉で検索した人が、自社の商談の席にいてもおかしくないか」で決めてください。おかしくないなら、検索数が小さくても作る価値があります。
意思決定者が複数いること
BtoBでは、使う人・お金を出す人・仕組みを守る人が別で、それぞれが知りたいことも別です。1つのページで全員に答えようとせず、立場ごとにページを用意します。
| 立場 | 知りたいこと | 用意するページの例 |
|---|---|---|
| 現場で使う人 | 使い勝手、今の業務がどう変わるか | 機能の説明・使い方・導入の流れ |
| 決裁者 | 費用と効果、ほかの方法との違い | 料金・導入事例・比較のページ |
| 情報システムの担当(システムを入れる商材のとき) | 安全性、今の仕組みとつなげられるか | セキュリティ・対応環境・連携のページ |
用意したページどうしは内部リンクでつなぎます。担当者が社内で説明するとき、決裁者向けのページのURLをそのまま共有できるようになります。
成果の地点の違い
BtoBの成果は、購入ではなく資料請求・問い合わせ・相談です。最初から問い合わせるのは、検討の終わりにいる人だけです。
検討を始めたばかりの人には、営業と話さずに済む入口を用意します。資料のダウンロードやメルマガの登録がその例です。入口が問い合わせだけだと、検討の初めの人は何も残さずにページを離れます。
BtoBのSEO対策の進め方8ステップ
BtoBのSEO対策は、「決める」「選ぶ」「作る」「直す」の4つの段階で、8つのステップを順に進めます。

| 段階 | ステップ |
|---|---|
| 決める | 1 目標と追う数字/2 想定する読み手と検討の流れ |
| 選ぶ | 3 キーワードと競合の確認 |
| 作る | 4 サイトの土台/5 サービスページと記事/6 外部での紹介/7 問い合わせまでの導線 |
| 直す | 8 測って直す |
人手が少ないときは、全部を一度に始めないでください。まず「1 目標と追う数字」を決めます。次に「4 サイトの土台」のうち、Search Console と GA4 の設置だけを済ませます。GA4 は、Google アナリティクス4のことです。数字が取れる状態にしてから、ページ作りに進みます。
1 目標と追う数字
追う数字は、受注の目標から逆に計算して決めます。訪問の数から決めると、商談につながらない言葉ばかりを狙うことになります。
計算は次の2段です。割合には、ほかの会社の数字ではなく、自社の営業の記録にある過去の数字を入れてください。
- 必要な商談の数 = 受注の目標 ÷ 商談から受注に進んだ割合
- 必要な問い合わせの数 = 必要な商談の数 ÷ 問い合わせから商談に進んだ割合
計算のしかたを、仮の数字で示します。受注の目標が年12件で、自社の記録では商談の3件に1件が受注、問い合わせの2件に1件が商談になっていたとします。必要な商談は年36件、問い合わせは年72件で、SEOで取る問い合わせの目標は月6件になります。
2 想定する読み手と検討の流れ
ページを読む人を、使う人と決裁者に分けて書き出します。そのうえで、「課題に気づく」「比べる」「決める」の3つの段階で、それぞれ何を調べるかを並べます。
書き出す項目は次の4つです。
- 立場(担当者・決裁者・情報システムの担当など)
- その段階で抱えている課題
- その段階で検索する言葉
- その段階で読みたい資料(記事・比較表・料金表・導入事例など)
営業の担当者に聞くと、どの段階の人がどんな質問をしてくるかが早く集まります。
3 キーワードと競合の確認
言葉は、受注に近いものから選びます。選び方は、次の「BtoBのキーワードの選び方」で詳しく扱います。
言葉を決めたら、その言葉で実際に検索し、上位10件のページを読みます。確かめるのは次の3点です。
- 上位のページが扱っている話題
- 答えの形(会社の一覧か、手順か、解説か)
- 比較サイトや求人のページがどれだけ並んでいるか
上位が会社の一覧ばかりなら、検索した人は依頼先を探しています。そこに解説の記事を出しても、求められている答えと形が合いません。
4 サイトの土台
サイトの土台とは、検索エンジンがページを見つけ、正しく読めるようにするための設定です。大きな問題があれば記事より先に直し、無ければ記事作りと並行して進めます。
確かめる項目は次のとおりです。
- https で表示されるか
- スマホで崩れずに読めるか
- 表示が遅すぎないか
- ページごとにタイトルと見出しが付いているか
- 画像に説明の文(alt)が入っているか
- サイトマップを Search Console に送っているか
- robots.txt で、見てほしいページを止めていないか
- 同じ内容のページが複数あるとき、正規のURL(canonical)を指定しているか
- Search Console と GA4 が入っているか
先に直すかどうかは、Search Console の「ページのインデックス登録」のレポートで決めます。サービスページや料金のページが登録されていなければ、記事を増やす前にそこを直してください。
5 サービスページと記事
最初に、自社の会社名とサービス名で検索して、自社のページが一番上に出るかを確かめます。出ないなら、新しい記事より先にそこを直します。
作る順番は、受注に近いものからです。
- サービスページ(何を・いくらで・どこまでするか)
- 比較や導入事例のページ
- 課題を解説する記事
BtoBの記事の中身は、社内にある情報が一番の材料になります。営業がよく受ける質問、受注や失注の理由、技術の担当者が持つ知識は、ほかの会社には書けない一次情報です。まず営業の担当者に「商談でよく聞かれる質問」を5つ挙げてもらうと、記事の題材がそろいます。
誰が書いたか、どの会社が出しているかも、ページに明記します。書いた人と会社が分かると、担当者はその情報を社内の検討の資料に使いやすくなります。
6 外部での紹介
外部での紹介とは、ほかのサイトに自社のページが取り上げられ、リンクを張られることです。BtoBでは、業界メディアへの寄稿、独自の調査の公開、取引先の導入事例への掲載が、取り上げられるきっかけになります。
順位を上げるためにリンクを買ったり、リンクを張り合う約束を重ねたりしてはいけません。Googleのスパムに関するポリシーは、こうしたリンクの売買や過剰な相互リンクを、リンクスパムの例に挙げています。
作った記事は、SNSで知ってもらうこともできます。まだ課題を探していない人に記事が届けば、名前を知った人が後から検索で戻ってくることもあります。
7 問い合わせまでの導線
導線とは、ページを読んだ人が次に進む入口のことです。ページの種類ごとに、その段階の人が押しやすい入口を置きます。
| ページの種類 | 置く入口 |
|---|---|
| 課題の記事 | 資料のダウンロード・メルマガの登録 |
| 比較・事例のページ | 相談・資料請求 |
| サービスページ | 問い合わせ・見積もりの依頼 |
入口を置く位置は、最初の画面・本文の途中・最後の3か所です。長い記事で最後にしか入口が無いと、途中で答えを得た人がそのまま離れます。
「社内の説得のしかた」のような悩みは、検索されにくいものです。こうした悩みは、メルマガや資料で届けます。
8 測って直す
月に1回、順位・訪問・問い合わせの数を見て、その月に直す記事を決めます。新しい記事を増やすより、伸びかけている記事を直すほうが、早く数字が動くことがあります。
直し方は、順位と問い合わせの組み合わせで決めます。
| 記事の状態 | 直すところ |
|---|---|
| 順位は高いが、問い合わせが少ない | 入口の種類と位置 |
| 問い合わせは多いが、順位が低い | 中身(足りない話題を足す) |
| 順位も問い合わせも低い | 狙う言葉そのもの |
| 順位も問い合わせも高い | そのまま保ち、近い言葉の記事を足す |
BtoBのキーワードの選び方
BtoBのキーワードは、検討の段階ごとに分け、受注に近い「決める」段階の言葉から作ります。
検討の段階ごとの言葉
検索する言葉は、担当者が検討のどこにいるかで変わります。段階ごとに、用意するページと入口が決まります。
| 段階 | 言葉の例 | 検索の目的 | 用意するページ | 問い合わせの形 |
|---|---|---|---|---|
| 課題に気づく | 「◯◯とは」「◯◯ 課題」「◯◯ 原因」 | 調べたい | 課題の記事 | 資料のダウンロード・メルマガ |
| 比べる | 「◯◯ 比較」「◯◯ 選び方」「◯◯ おすすめ」 | 比べたい | 比較・事例のページ | 相談・資料請求 |
| 決める | 「◯◯ 料金」「◯◯ 導入事例」「会社名」 | 申し込みたい | サービスページ | 問い合わせ・見積もり |
3つの段階のうち、最初に作るのは「決める」段階のページです。課題に気づく段階の記事は訪問を集めやすい一方で、問い合わせまでの距離が一番遠くなります。

受注に近い言葉から
言葉は、検索数ではなく「その言葉で検索した人が顧客になるか」で選びます。「比較」や「料金」の言葉は検索数が小さいことが多いですが、検索した人は依頼先を決めかけています。検索数が小さいからといって、後回しにしないでください。
受注に近い言葉は、営業の記録から拾えます。最近受注した顧客の、最初の問い合わせの文を10件並べ、くり返し出てくる言葉に印を付けてください。顧客が自分の課題をどう呼んでいるかが分かり、社内の呼び方とずれている言葉も見つかります。
課題・業種・役職から広げる
受注に近い言葉が決まったら、課題・業種・役職を掛け合わせて言葉を広げます。
| 広げ方 | 言葉の例(勤怠管理のシステムの場合) |
|---|---|
| 課題 | 「勤怠管理 ミス 削減」「勤怠管理 手作業」 |
| 業種 | 「製造業 勤怠管理」「建設業 勤怠管理」 |
| 役職 | 「人事 勤怠管理 負担」「経営者 勤怠管理 コスト」 |
掛け合わせた言葉は検索数がさらに小さくなります。そのぶん、検索した人の状況がはっきりし、ページの中身を合わせやすくなります。
比較サイトが上位の言葉
「◯◯ 比較」「◯◯ おすすめ」のような言葉は、比較サイトが上位を占めることがあります。自社のページで同じ言葉の上位を正面から狙う前に、次の3つで考えます。
- 検索数の小さい言葉で先に上位を取る:業種や課題を足した言葉で、先に自社のページを上に出す
- 比較サイトに載る:上位の比較サイトの一覧に、自社が載っているかを確かめる
- 業界で取り上げられる:業界メディアや取引先のサイトで紹介され、名前で検索される回数を増やす
テーマごとに記事をまとめてつなぐ形
1つのテーマごとに、まとめのページと細かい話題の記事を内部リンクでつなぎます。まとめのページから各記事へ、各記事からまとめのページへリンクを張ります。
決まりは「1つの言葉に1ページ」です。同じ言葉を2つのページで狙うと、2つのページが検索結果で争い、どちらも上に出にくくなります。
争っているかは Search Console で確かめられます。検索パフォーマンスのレポートで、言葉を1つに絞り込みます。「ページ」のタブに2つ以上のURLが出ていれば、争っている見込みがあります。その場合は、片方の記事の狙いを変えるか、2つを1つにまとめます。
BtoBのSEOの成果の測り方
BtoBのSEOの成果は、検索順位から受注までの5つの段階で測ります。訪問の数やページの閲覧数だけで判断しません。
追う数字の段階
数字は流れの順に、上から見ていきます。どの段階で数字が止まっているかが分かると、直すところが決まります。
| 段階 | 見る数字 | 見る道具 |
|---|---|---|
| 検索結果に出る | 表示回数・掲載順位・登録されたページの数 | Search Console |
| 訪問 | 検索からの訪問の数 | Search Console・GA4 |
| 問い合わせ | 資料請求・問い合わせの数 | GA4(キーイベント) |
| 商談 | 商談になった数 | 営業の記録 |
| 受注 | 受注の数と金額 | 営業の記録 |
上の3つは Search Console と GA4 で見られます。下の2つは営業の記録と照らし合わせないと分かりません。
商談・受注までの照合
どの記事から来た問い合わせが商談や受注になったかは、営業の記録と照らし合わせて確かめます。問い合わせのたびに、その人が最初に見たページを、顧客管理の仕組みや営業の記録に残してください。
照合すると、訪問は少なくても商談を生んでいる記事が見つかります。その記事に近い言葉の記事を足すと、受注に近い流れを太くできます。
失注した見込みの顧客にも、記事が使えます。失注の理由が「社内の説得ができなかった」なら決裁者向けの記事を、「費用が合わなかった」なら料金の考え方の記事を送ります。
狙う言葉の一覧も、営業の記録の近くで管理します。言葉ごとに、そこから来た商談の数を書き足していくと、次に作る記事の順番が決まります。
成果が出るまでの期間
成果が出るまでの期間は、会社のサイトの状態と、狙う言葉の競合の強さで変わります。Googleは、SEOの業者に聞く質問として「期待される結果とその時期、成果はどのように測定するのか」を挙げています。期間は、頼む前に相手に聞いて、数字で答えてもらってください。
株式会社FIZのSEOコンサルティングでは、成果が出るまで3か月から半年を目安としています。
BtoBのSEOでよくある失敗
BtoBのSEOでよくある失敗は、次の4つです。どれも、訪問の数や記事の本数を成果と取り違えたところから起きます。
検索数だけで選ぶ
検索数の多い「◯◯とは」のような言葉ばかりを狙うと、訪問は増えても商談になりません。検索しているのは、まだ依頼先を探していない人だからです。
狙う言葉の一覧に、「比較」「料金」「導入事例」の言葉が入っているかを確かめてください。1つも無ければ、受注に近い言葉が抜けています。
問い合わせしか入口がない
どのページにも「お問い合わせ」のボタンしか無いと、検討の初めの人は何も残さずに離れます。営業と話すにはまだ早いと感じているためです。
課題の記事には、資料のダウンロードやメルマガの登録のように、営業と話さずに済む入口を置いてください。
閲覧数だけを見る
ページの閲覧数だけを報告していると、SEOが商談や受注にどれだけ役立ったかが見えません。社内で「なぜ続けるのか」と聞かれたときに、答えられなくなります。
報告には、商談になった数と、そのきっかけになった記事を必ず入れてください。
AIで量産した記事
生成AIで記事を大量に作り、そのまま出すのは避けてください。Googleのスパムに関するポリシーは、これを大量生成されたコンテンツの不正使用の例に挙げています。生成AIなどで、読む人への価値を加えずに大量のページを作ることです。
AIを使うなら、下書きまでにとどめます。営業の知見や自社の事例、技術の担当者の確認を足し、社内の担当者が中身を確かめてから公開します。
AI検索が広がった今のBtoBのSEO
Googleは、検索結果のAIの要約に出るために、SEOと別の特別な対策は要らないとしています。SEOで整えたページが、そのままAI検索の土台になります。
検索結果のAIの要約
Googleの検索結果には、上の部分にAIの要約(AIによる概要)が出る言葉があります。Googleのウェブサイト向けの説明では、要約に出る対象は、インデックスに登録され、検索結果に説明文を出せるページです。
AIの要約から自社のページに来た訪問も、ふだんと同じレポートで見られます。Search Console の検索パフォーマンスのレポートの、検索タイプ「ウェブ」に含まれます。
AIに引用されるページ
AIに引用されるページの条件は、Googleの説明では、ふだんのSEOの基本と同じです。
- 大事な情報は、画像や動画だけでなく文章で書く
- 内部リンクで、大事なページを見つけやすくする
- 構造化データは、ページに書いてある文章と合わせる
あわせて、営業がよく受ける質問を見出しにし、その直下で答えを書きます。ページのどこに答えがあるかが、はっきりします。
自社でやるか、会社に頼むか
顧客の課題と営業の知見は社内に残し、分析・設計・記事の制作・サイトの直しのうち、手が回らないところを会社に頼みます。全部を頼むか、全部を自社でやるかの二択にしないでください。
自社で進める範囲
社内に残すと強いのは、ほかの会社が持っていない情報です。
- 顧客が抱えている課題と、その呼び方
- 営業がよく受ける質問と、受注・失注の理由
- 受注の記録(どの記事から来た問い合わせが受注になったか)
- 技術や専門知識の確認(記事の中身が正しいか)
一方、分析・設計・記事の制作・サイトの直しは、外に頼みやすい仕事です。次のどれかに当てはまるときが、頼むことを考える時期です。
- 社内に、記事を書く人やサイトを直す人がいない
- 社内に、SEOの数字を読める人がいない
- 早く形にしたい理由がある(新サービスの公開・展示会の前など)
頼む範囲の決め方
SEOの仕事は、5つに分けて考えると頼む範囲を決めやすくなります。
| SEOの仕事 | 社内で持つこと | 会社に頼めること |
|---|---|---|
| 追う数字と狙う言葉の設計 | 受注の目標と、顧客の課題の言葉 | 検索のデータの調べと、設計の案 |
| Webサイト解析 | 営業の記録との照合 | 訪問や動きのデータの分析 |
| サイト内部の見直し・UI改善 | 公開してよいかの判断 | 検索エンジン向けの直し・画面の改善 |
| コンテンツ記事制作 | 一次情報の提供と、中身の確認 | 企画・取材・執筆 |
| 月次レポート・定例会 | 商談と受注の数の共有 | 数字のまとめと、次の打ち手の提案 |
株式会社FIZは、Z世代に届くSNSマーケティング・インフルエンサー施策に強みを持つ会社です。FIZのSEOコンサルティングは、この表の5つの仕事を提供しています。料金は会社ごとの見積もりで、目安は月額10万〜20万円以上、契約期間は半年からです。一部だけの依頼も受けており、記事の制作のみ、UI改善のみでも始められます。SNS・広告・クリエイティブ制作も同じ窓口で相談できます。
会社に頼むときの確認
Googleは「SEO 業者の利用を検討する」のページで、業者に聞く質問を挙げています。そのうちBtoBで特に聞いておきたいものに、BtoBで確かめる点を足すと、次のようになります。
| 聞くこと | BtoBで確かめる点 |
|---|---|
| 過去の作業のサンプルと成功事例 | 成果を、訪問の数でなく問い合わせや商談の数で示しているか |
| 同じ業種での実績 | 検討期間の長い、会社向けの商材を扱ったことがあるか |
| 期待される結果とその時期、成果の測り方 | 商談・受注の数まで、営業の記録と照らして追えるか |
| 変更の中身と、その理由を説明してくれるか | 社内の稟議に使える形で説明してもらえるか |
| 自社の事業に関心を持って質問してくるか | 顧客の課題や営業の流れを聞いてくるか |
上の5つに加えて、次の2点も確かめてください。
- どこまで手を動かすか:提案だけか、記事の制作やサイトの直しまで行うか
- AI検索への対応:AIの要約やAIの答えに自社が出ているかを、どう確かめるか
Googleは同じページで、検索結果の一番上に出ることは誰にも保証できないとしています。順位を約束する会社は避けてください。また、SEOの監査を提案されたときは、Search Console の読み取りの権限だけを渡すよう勧めています。書き込みの権限は、その段階では渡しません。
BtoBのSEO対策のよくある質問
オウンドメディアは別のドメインで作るべきですか?
検索の評価のためだけに、別のドメインを取る必要はありません。Googleの「SEO スターター ガイド」は、ドメイン名やURLに入れた言葉の影響はほとんど無いとしています。
会社のサイトの中に置くか分けるかは、管理のしやすさで決めます。同じガイドは、サブドメインとサブディレクトリのどちらにするかは、事業上の理由で選べばよいとしています。サブドメインは blog.example.com、サブディレクトリは example.com/blog/ の形です。サブディレクトリに分けると、管理しやすくなる場合があるともしています。
業種によってやり方は変わりますか?
進め方の8ステップは、業種が変わっても同じです。変わるのは、狙う言葉と、ページに載せる一次情報です。
たとえば製造業なら、加工できる素材やサイズ、技術資料が一次情報になります。システムを売る会社なら、連携できる仕組みやセキュリティの情報が、情報システムの担当に読まれます。
費用はどのくらいかかりますか?
Googleに払う費用はありません。かかるのは、記事を書き、サイトを直す人の時間です。
会社に頼む場合の費用は、任せる範囲で変わります。分析と提案だけか、記事の制作とサイトの直しまで含むかで、月額が変わります。
まとめ
BtoBのSEO対策は、受注に近い言葉から選び、検討の段階に合ったページと入口を作る取り組みです。そのうえで、商談・受注までの数字を見て直していきます。まず自社の会社名とサービス名で検索し、自社のページが一番上に出るかを確かめてください。次に Search Console と GA4 を入れて、数字が取れる状態を作ります。
