海外の顧客にSNSで届けたいと考えたとき、どの国から始めるか、どのSNSを使うかで手が止まっていませんか。社内に経験者がいなければ、世界のSNS利用者数を調べても、自社が次に決めることは見えてきません。
この記事でわかること
- 海外SNSマーケティングの進め方
- 国・地域別によく使われているSNS
- 海外向けにできる5つの施策
- 日本のやり方が通じない3つの点
- 届け先ごとに測る数字
手順に沿って進めれば、狙う国を1つ選び、その国で使うSNSと、発信を頼む人の候補まで書き出せます。
海外SNSマーケティングの進め方
海外SNSマーケティングは、次の5つを順に決めて進めます。
- 国を1つに絞る
- その国の顧客が、現地にいるのか、日本に来るのかを決める
- その国で使われているSNSに合わせる
- 誰に、どの言語で発信させるかを決める
- 何の数字で見るかを決める
分かれ目はステップ2です。ここの答えによって、ステップ3から5の中身が変わります。
海外SNSマーケティングとは、海外の顧客に向けてSNSで商品やサービスを知らせ、購入や来訪につなげる活動です。

5つのステップの中身
5つのステップは、前の答えが次の材料になる順に並んでいます。各ステップで書き出すものは次のとおりです。
| ステップ | 決めること | 書き出すもの |
|---|---|---|
| 1 国 | どの国から始めるか | 国名を1つ |
| 2 届け先 | 顧客が現地にいるのか、日本に来るのか | どちらか一方 |
| 3 媒体 | その国で使われているSNSのどれを使うか | 媒体を1〜2つ |
| 4 発信者と言語 | 誰が、どの言語で投稿するか | 発信者の候補と、使う言語 |
| 5 測る数字 | 何が増えたら成果とみなすか | 追いかける数字を1〜3つ |
国が決まらないと、使われているSNSが決まりません。届け先が決まらないと、誰に何を見せるかが決まりません。1枚の紙にこの5行を書けば、社内で話し合う材料になります。
届け先の決め方
届け先は2つあります。現地に住んでいる人に現地で届けるか、これから日本に来る旅行者に渡航の前に届けるかです。
どちらにあたるかは、「その顧客は、自社の商品をどこで受け取るか」の1問で分かります。
| 経路 | 顧客がいる場所 | 商品を受け取る場所 | 当てはまりやすい事業 |
|---|---|---|---|
| 現地にいる顧客に届ける | 相手の国 | 相手の国 | 越境EC・現地に販路がある商品・現地法人 |
| 日本に来る旅行者に届ける | 渡航の前は相手の国 | 日本国内 | ホテル・商業施設・小売・飲食・観光施設 |
2つの経路では、見せるものも変わります。現地の顧客には、商品とその国で買える場所を見せます。日本に来る旅行者には、日本のどこに何があるかと行き方を見せます。
現地でも売っていて、来日した旅行者も店に来る事業もあります。その場合は、売上が大きいほうを先に選んでください。
国の選び方
最初の国は、すでに自社と接点がある国から1つ選びます。市場の大きさで選ぶと、素材も人脈も無い国から始めることになります。
接点を測る材料は、社内に3つあります。
- 直近12か月の問い合わせ・来店・購入の件数を、国別に並べたもの
- 自社サイトの訪問数を、国別に並べたもの
- 取引先・販路・代理店がある国の一覧
3つのうち、件数が最も多い国から始めます。店舗を持つ事業なら、免税の手続きの記録も材料になります。免税とは、訪日の旅行者が消費税を払わずに買える仕組みです。手続きの記録から、どの国の旅行者が来ているかが分かります。
国を1つに絞るのは、国が変わると媒体も言語も商習慣も変わるためです。
順序を飛ばすと起きること
順序を飛ばすと、決め直しが起きます。よくあるのは次の2つです。
1つ目は、媒体から決めることです。日本で使っているInstagramから始めると、その国では別の媒体が中心だったと後で分かります。中国本土や韓国、ベトナムのように、メッセージの媒体が日本と違う国もあります。
2つ目は、2か国を同時に狙うことです。言語も発信者も確認の工程も国の数だけ要るため、作業量が倍になります。どちらの国でも投稿の本数が足りず、反応を読めないまま止まりがちです。1か国で投稿の型が決まってから、次の国を足してください。
国・地域別によく使われているSNS
どのSNSを使うかは、国で決まります。日本での利用率を、そのまま海外に当てはめないでください。
国・地域ごとの一覧表
メッセージに使う媒体は、国ごとに違います。LINEが中心なのは、日本・台湾・タイです。
| 国・地域 | 主に使われているSNS | 日本と違うところ | 数字の出どころ |
|---|---|---|---|
| 中国本土 | WeChat(月間14億3,900万人)・Weibo(月間5億6,100万人)・小紅書・Douyin・QQ | 日本で使っているSNSが、そのまま使えない場合がある。現地で使われている媒体から選ぶ | テンセント 決算発表(2026年6月末。WeChat は Weixin との合計)・Weibo 決算発表(2026年6月) |
| 台湾 | LINE(月間2,200万人・人口の94.5%)・Facebook・Instagram・YouTube | LINEの利用率が日本(81.3%)より高い | LINEヤフー 公式サイト(2026年3月末) |
| 香港 | WhatsApp・Facebook・Instagram・WeChat | メッセージの中心がLINEではなくWhatsApp | — |
| 韓国 | KakaoTalk(韓国内で月間4,963万人)・Instagram・YouTube | メッセージの中心がLINEではなくKakaoTalk | カカオ 決算資料(2026年4〜6月の月平均) |
| タイ | LINE(月間5,400万人・人口の81.8%)・Facebook・TikTok・YouTube | LINEの利用率は日本とほぼ同じ | LINEヤフー 公式サイト(2026年3月末) |
| ベトナム | Zalo(月間7,900万人)・Facebook・TikTok・YouTube | メッセージの中心がベトナムの媒体のZalo | Zalo 公式サイト(2025年9月) |
| インドネシア | WhatsApp・Instagram・TikTok・YouTube | メッセージの中心がWhatsApp | — |
| シンガポール | WhatsApp・Instagram・Facebook・TikTok・YouTube | メッセージの中心がWhatsApp。英語で発信できる | — |
| アメリカ | YouTube(84%)・Facebook(71%)・Instagram(50%)・TikTok(37%)・WhatsApp(32%) | Facebookを使う人が成人の7割いる | Pew Research Center(2025年2〜6月調査・18歳以上) |
| 欧州 | WhatsApp・Instagram・Facebook・TikTok・YouTube | 国ごとに言語が違う。1つの言語で欧州全体には届かない | — |
| インド | WhatsApp・YouTube・Instagram | メッセージの中心がWhatsApp | — |
数字は2026年9月23日時点の公表内容です。アメリカの%は、18歳以上でその媒体を使っている人の割合です。
日本では使われていないSNS
日本では見かけないSNSが、その国の中心になっていることがあります。日本の媒体に置き換えると、役割をつかみやすくなります。
| 媒体 | 利用者数(出どころ・時点) | 主に使われている国・地域 | 日本で近いもの |
|---|---|---|---|
| 月間14億3,900万人(テンセント・2026年6月末。Weixin との合計) | 中国本土 | LINE。支払いや、アプリの中で動く小さなアプリまで1つにまとまっている | |
| 月間5億6,100万人(Weibo・2026年6月) | 中国本土 | X | |
| 小紅書(RED) | — | 中国本土 | Instagram。商品の口コミを探す場として使われる |
| Douyin | — | 中国本土 | TikTok。運営会社は同じで、中国本土向けの別のアプリ |
| 月間5億2,000万人(テンセント・2026年6月末。モバイル端末) | 中国本土 | メッセージの媒体 | |
| KakaoTalk | 韓国内で月間4,963万人(カカオ・2026年4〜6月の月平均) | 韓国 | LINE |
| Zalo | 月間7,900万人(Zalo 公式サイト・2025年9月) | ベトナム | LINE |
| 30億人超・180か国以上(WhatsApp 公式サイト) | 香港・東南アジア・欧州・インドほか | LINE | |
| Snapchat | 月間9億7,100万人(Snap 決算発表・2026年4〜6月) | アメリカ・欧州 | 写真や動画を友人と送り合う媒体。日本で近いものは少ない |
| 登録者10億人超・200以上の国と地域(LinkedIn 公式サイト) | 各国の仕事の場面 | 仕事用のプロフィールと人脈の媒体。企業どうしの取引や採用に使われる |
台湾とタイに届けるなら、日本と同じLINEの公式アカウントの考え方を使えます。
利用者数の数字の確かめ方
利用者数の数字は、媒体の公式発表か公開統計まで戻って確かめてから、社内の資料に使ってください。数字は四半期ごとに変わります。
確かめる方法は3つあります。
- 媒体の運営会社の決算資料や公式サイト、政府機関・調査機関の公開統計を読む
- 媒体の広告管理画面で国と年代を指定し、表示される推定の規模を見る
- 取引先や現地の発信者に、実際に何を使っているかを聞く
2つ目は、広告を出さなくても確認できます。複数の媒体で同じ条件を指定すれば、規模を並べて比べられます。
数え方も媒体ごとに違います。月に1回以上使った人の数、登録者の数、成人のうち使っている人の割合は、それぞれ別の数字です。比べるときは、同じ数え方の数字どうしを並べてください。
海外SNSマーケティングでできる5つの施策
海外向けのSNSでできることは5つです。どれを選ぶかは、ステップ2の答えで変わります。
- 現地向けの公式アカウントの運用
- SNS広告
- 現地のインフルエンサー(KOL)の起用
- 市場調査と、SNSでの問い合わせ対応
- その国の中で買える場所の用意
現地向けの公式アカウントの運用
公式アカウントは、その国の言語で、その国で使われている媒体に作ります。日本語のアカウントに外国語の投稿を混ぜると、どちらの読者にも関係の薄い投稿が並びます。
現地にいる顧客向けなら、投稿は現地の時間帯に合わせて出します。日本に来る旅行者向けなら、相手の国の長期休暇から逆算して、渡航を計画する時期に出します。
SNS広告
SNS広告は、国・年代・関心を指定して配信できます。アカウントに投稿が溜まる前から、狙った国の人に届けられるのが利点です。
現地にいる顧客向けなら、配信先はその国の中です。日本に来る旅行者向けなら、渡航前の相手の国に配信します。加えて、日本国内にいる旅行者に向けて、滞在中に配信する方法もあります。
現地のインフルエンサーの起用
その国に読者を持つ発信者に投稿を頼むと、自社のアカウントを育てる前から現地の人に届きます。中国語圏では、影響力のある発信者をKOL(Key Opinion Leader)と呼びます。
発信者は、住んでいる場所で選び方が変わります。
| 発信者が住んでいる場所 | できること | 注意すること |
|---|---|---|
| 相手の国 | 現地の言葉と話題のまま発信できる | 日本の現場では撮影できない。素材は日本から送る |
| 相手の国に住み、日本に来る | 日本の現場で撮影し、母語で発信できる | 渡航の日程と費用がかかる |
| 日本に住む、相手の国の出身者 | 日本の現場で撮影でき、日程を合わせやすい | 現地のいまの話題からは距離がある |
現地にいる顧客向けなら、1行目が基本です。日本の店舗や施設を見せたいなら、2行目か3行目から選びます。
市場調査と問い合わせ対応
SNSは、現地の声を集める場所としても使えます。自社の商品名や競合する商品名が、その国でどう語られているかを投稿から読めます。
問い合わせの窓口にもなります。現地にいる顧客向けなら、購入前の質問がメッセージで届きます。日本に来る旅行者向けなら、営業時間や行き方、使える決済手段の質問が中心です。どちらも、返信の期限を先に決めておきます。
越境ECと現地の販売店
現地にいる顧客に届けるなら、見た人が買える場所をその国の中に用意します。必要なのは、配送・決済・問い合わせ窓口の3つです。
3つが揃わないまま発信すると、反応があっても購入に進めません。海外の顧客に通信販売で売る越境ECの店か、現地の販売店を先に決めてください。
媒体によっては、投稿から商品のページに進める買い物の機能があります。使える国は媒体ごとに違うため、媒体の公式の案内で確かめます。日本に来る旅行者向けの場合は、この施策の代わりに、店舗までの行き方を整えます。
得られることと得られないこと
海外向けのSNSで得られるのは、認知と新しい顧客との接点です。短い期間での売上と、投稿だけでの拡大は得られません。
| 得られること | 得られないこと |
|---|---|
| その国での認知 | 数週間での売上。投稿を見てから購入や来訪までに間がある |
| 新しい顧客との接点 | 投稿だけでの拡大。新しいアカウントは、広告や発信者の力を借りないと見つかりにくい |
| 顧客との関係の継続 | 少ない人手での運用。その国の言語で返信する人が要る |
| 同じ関心を持つ人の集まり | 翻訳だけでの浸透。その国の人が反応する表現に直す手間がかかる |
「得られないこと」の列は、始める前に社内で共有しておくと、途中で打ち切られるのを防げます。
日本のやり方が通じない3つの点
日本のやり方は、言語・文化・法律の3つで通じなくなります。ただし、ノウハウのすべてが使えなくなるわけではありません。
企画・撮影・投稿・分析の型は、海外向けでもそのまま使えます。変わるのは、何語で書くか、どう受け取られるか、何が許されるかの3つです。
言語と翻訳
翻訳は、意味を別の言語に移す作業です。その国の人が反応するかどうかまでは保証しません。
出す前に、その言語を母語とする人2人に読んでもらいます。聞くのは、意味が正しく伝わるかと、印象に違和感が無いかの2点です。1人では、個人の好みと、その国で一般的な受け取られ方との区別がつきません。
外注する場合は、訳文を誰が確かめるかを契約の段階で決めてください。翻訳の会社と運用の会社が別のときに、確認する人が抜けやすくなります。
文化と商習慣
商品名や色、行事の時期は、出す前に相手の国での意味を確かめます。同じ商品名でも、別の言語では違う意味に読めることがあります。
確かめるのは、次の4点です。
- 商品名・キャンペーン名の読み方と、その言語での意味
- 色・数字・動物・手ぶりに込められる意味
- 旧正月など、その国の大きな行事と長期休暇の時期
- 値段の見せ方(税込か税抜か、どの通貨で書くか)
投稿の予定表は、日本の暦ではなく、その国の暦で作ってください。日本の連休に合わせた企画は、相手の国では平日の投稿になります。
法律と広告表示
広告であることの表示、個人情報の扱い、使える媒体は、国ごとに決まりが違います。日本の決まりを守っていても、相手の国の決まりを満たすとは限りません。
とくに発信者に投稿を頼むときは、広告であることをどう示すかを、日本と相手の国の両方で確かめます。応募を集めるキャンペーンで個人情報を預かる場合も同じです。
確かめる役を、始める前に決めてください。社内の法務か、現地の代理店か、運用を任せる会社か。誰も確かめない状態が、最も起きやすい抜けです。
国内向けの運用に加えて要るもの
海外向けのSNS運用は、国内向けの置き換えではありません。国内向けの運用はそのまま必要で、その上に3つが積み増されます。

加えて要る3つ
積み増されるのは、現地の媒体と言語、現地の発信者、現地の反応の確かめ方の3つです。土台の企画・撮影・投稿・反応の確認・分析は、国内向けと変わりません。
- 現地の媒体と言語:その国で使われている媒体にアカウントを作り、その国の言語で投稿文を書きます。媒体が増えれば、投稿の本数も増えます
- 現地の発信者:その国に読者を持つ発信者を探して依頼します。人選と交渉の工程が新しく加わります
- 現地の反応の確かめ方:コメントや問い合わせが、その国の言語で届きます。意味を読むだけでなく、好意か苦情かを見分ける必要があります
国内向けの運用が回っていないまま始めると、海外向けの3つを載せる土台がありません。国内向けの投稿が定期的に出ているかを、先に確かめてください。
コメントを読む人と返す人
海外向けの運用で止まりやすいのは、コメントへの返信です。始める前に、次の役割を誰が持つかを決めます。
| 役割 | 決めること |
|---|---|
| 訳文の確認 | 投稿の前に、母語とする人が読むか |
| コメントと問い合わせへの返信 | その国の言語で、何時間以内に返すか |
| 苦情の見分け | 好意か苦情かを判断し、社内の誰に上げるか |
| 時差への対応 | 現地の営業時間に届いた質問に、いつ返すか |
日本の営業時間だけで対応すると、返信まで丸1日空くことがあります。返信が止まったコメント欄は、新しく見に来た人の目にも入ります。
見積もりの4項目
海外向けの見積もりは、金額ではなく、次の4項目のうちいくつが入っているかで並べてください。
- その国の言語での投稿文の作成(翻訳のみか、その言語で書き起こすか)
- その国の言語でのコメント・問い合わせへの対応(対応する時間帯も含む)
- 現地の発信者のキャスティング(対応できる国の範囲)
- その国の広告表示の決まりの確認(誰が確かめるか)
金額が安い見積もりは、このうちいくつかが入っていないことがあります。入っていない項目は、社内で持つか、別の会社に頼むことになります。
届け先ごとに測る数字
現地にいる顧客なら現地からの購入や問い合わせの件数を、日本に来る旅行者なら来店や予約の数を見ます。
| 届け先 | 主に見る数字 | 数字が取れる場所 |
|---|---|---|
| 現地にいる顧客 | 現地からの訪問数・購入件数・問い合わせ件数 | 自社サイトやECの分析画面、媒体の分析画面 |
| 日本に来る旅行者 | 来店数・免税の利用件数・宿泊の予約数 | 店舗の記録・予約の記録・検索の回数 |
現地にいる顧客に届ける場合
現地にいる顧客に届けるなら、その国からの訪問・購入・問い合わせの件数を見ます。投稿から自社のページに進んだ人を、国別に数えられます。
投稿や広告のリンクには、どの媒体のどの投稿から来たかが分かる印を付けておきます。自社サイトの分析画面で国別に絞れば、どの国のどの投稿が購入につながったかが読めます。
日本に来る旅行者に届ける場合
日本に来る旅行者に届ける場合は、投稿と来店の間で記録が切れます。投稿を見たのは渡航の前で、店に来るのは数週間から数か月後です。SNSの側には、来店につながったことが残りません。
記録の切れ目を埋める方法は2つあります。
- 海外向けの投稿にだけ載せる合言葉を決め、店頭で見せてもらう
- 店名そのもので検索された回数を見る(指名検索)
指名検索とは、店名や施設名を直接入れて検索されることです。
来店の数字で判断するなら、投稿から半年ほどの幅を見てください。渡航の計画から来店までに間があるためです。
フォロワー数の扱い
フォロワー数は、どちらの届け先でも主な指標になりません。数が増えても、どの国の人が増えたのかが分からないためです。
見るなら、フォロワーの居住国の内訳です。媒体の分析画面で、狙った国の人の割合が増えているかを確かめてください。
事例3件
同じ「海外」でも、届け先の向きは案件ごとに違います。株式会社FIZが関わった3件も、それぞれ向きが違います。
UNIQLO心斎橋旗艦店
国内の人と、アジア圏の人の両方に向けて、オープンを知らせた案件です。
- 背景:UNIQLO SHINSAIBASHI の旗艦店のオープンに合わせたプロモーションです。クライアントはプラチナムです
- 施策:国内向けはマスメディアから、海外向けはSNSから発信しました。海外向けでは、アジア圏へ訴求できるミドルインフルエンサー5名を起用しています
- 詳しく:UNIQLO心斎橋旗艦店の実績ページ
店舗は日本国内にあるため、ステップ2の2つの経路では「日本に来る旅行者に届ける」形にあたります。1つのオープンに対して、届け先ごとに手段を分けた点が参考になります。
北海道庁アウトバウンド促進
日本国内の若い人に向けて、タイと台湾への旅行を見せた案件です。海外の顧客に届けた案件ではありません。
- 背景:北海道からタイ・台湾へのアウトバウンド(日本から海外への旅行)の数を底上げする案件です
- 施策:「HOW TO 海外」をコンセプトに、Instagram・TikTok・YouTubeで発信しました。コロナの影響で修学旅行や卒業旅行に行けなかったZ世代をコアターゲットにしています。起用は1名で、札幌市・函館市・旭川市での広告運用もあわせて行いました
- 成果:発信クリエイターの総再生数は83万回で、KPIを大幅に達成しました
- 詳しく:北海道庁アウトバウンド促進の実績ページ
見せた先は海外ですが、広告も北海道の3市で配信しており、届けた相手は日本国内の人です。
北海道庁 新路線就航プロモーション
こちらも、日本国内の人に向けて海外への旅行を見せた案件です。
- 背景:新千歳空港とシンガポール空港を結ぶ新しい路線の就航に合わせ、アウトバウンドの数を底上げする案件です
- 施策:3泊4日の旅行を想定し、各日ごとに分けてInstagramとYouTubeに投稿しました。起用は1名です
- 成果:Instagramで62.1万回、YouTubeで3.8万回の再生を得て、KPIを大幅に達成しました
- 詳しく:北海道庁 新路線就航プロモーションの実績ページ
旅行の日程に沿って投稿を分けると、見る人が自分の旅程に置き換えやすくなります。行き先を見せる投稿の組み立て方として使えます。
3件から分かること
「海外」という言葉には、3つの向きが混ざっています。自社がどれにあたるかを、最初に決めてください。
| 向き | 届ける相手 | この記事の3件 |
|---|---|---|
| 日本の事業者 → 海外にいる顧客 | 相手の国に住む人 | —(この記事の主題) |
| 日本の事業者 → 日本に来る海外の旅行者 | 渡航前と滞在中の旅行者 | UNIQLO心斎橋旗艦店 |
| 日本の事業者 → 日本にいる人に海外を見せる | 日本国内に住む人 | 北海道庁アウトバウンド促進・北海道庁 新路線就航プロモーション |
向きが違えば、使う言語も、起用する発信者も、測る数字も変わります。事例を読むときは、結果の数字より先に向きを確かめてください。
いま起きている3つの変化
海外向けのSNSで押さえておく変化は3つです。縦型の短い動画、SNSの中での検索、AIを使った多言語の制作です。
ショート動画とSNSの中での検索
多くの媒体で、縦型の短い動画が主な形になっています。言葉が分からなくても、映像で伝わる部分が大きい形です。
検索も、SNSの中で行われるようになっています。行き先や商品を、検索エンジンではなくSNSの検索窓で探す人がいます。投稿文とプロフィールに、その国の言葉で検索される語を入れてください。地名・商品名・店名は、現地の表記と日本語の表記を並べて書くと見つかりやすくなります。
AIでの多言語の制作
AIで多言語の下書きは作れますが、そのまま出すことはできません。人が確かめる作業が3つ残ります。
- その言語を母語とする人による、意味と印象の確認
- その国の広告表示の決まりの確認
- コメントへの返信で、好意か苦情かを見分けること
AIで減るのは、ゼロから訳文を書く時間です。現地の言葉が分かる人をまったく置かずに済むわけではありません。
海外SNSマーケティングのよくある質問
中小企業でも、少ない予算で始められますか
始められます。国を1つ、媒体を1つに絞れば、作業の量を抑えられます。
少ない予算なら、公式アカウントの運用か、発信者1名の起用のどちらか1つから始めてください。反応を3か月ほど見てから、次の施策を足します。
海外向けのアカウントは、日本語のアカウントと分けるべきですか
分けるのが基本です。1つのアカウントに言語が混ざると、フォロワーの居住国も混ざります。どの国で反応があったのかが、分析の数字から読めなくなります。
ただし、投稿の本数を確保できない場合は例外です。新しいアカウントは、投稿が溜まるまで人目に触れません。月に出せる本数が少ないなら、既存のアカウントで言語を併記して始めてください。
現地の言葉が分かる人が社内にいなくても始められますか
始められます。訳文を確かめる人と、コメントに返信する人を、社外に用意できれば進みます。
形は2つです。運用を任せる会社に言語の対応まで頼む形と、翻訳の会社と運用の会社を分けて頼む形です。分けて頼むなら、訳文を確かめる役をどちらが持つかを見積もりの段階で決めます。
現地のインフルエンサーの費用はどう決まりますか
費用は、主に4つの条件で決まります。
- 発信者のフォロワーの規模
- 発信者が住む国
- 投稿の本数と、動画か画像か
- 投稿の素材を、広告や自社サイトに使ってよい範囲と期間
日本に来てもらって撮影する場合は、渡航と滞在の費用が加わります。見積もりを受け取ったら、4つの条件がそれぞれどう書かれているかを確かめてください。
成果が出るまでどのくらいかかりますか
施策によって変わります。発信者を起用する施策は、投稿した週に再生数や閲覧数が動きます。アカウントを育てる運用は、反応の傾向がつかめるまで3か月から6か月かかります。
日本に来る旅行者向けでは、投稿を見てから来店するまでの間が、さらに加わります。
まとめ
海外SNSマーケティングで使うSNSは、国で決まります。まず国を1つ決め、届けたい相手が現地の顧客か日本に来る旅行者かを分けると、使う媒体と測る数字も決まります。最初の1か国は、直近12か月の問い合わせ・来店・購入の件数がいちばん多い国にしてください。
株式会社FIZは、Z世代に届くSNSマーケティング・インフルエンサー施策に強みを持つ会社です。北海道庁アウトバウンド促進では、Z世代をコアターゲットにした発信で総再生数83万回となりました。UNIQLO心斎橋旗艦店のオープンでは、国内向けと海外向けの発信を分けた企画に関わりました。自社のSNSの進め方について相談したい方は、ご連絡ください。
