SNSの担当を任されたものの、何から手を付ければよいか分からない。手法はアカウント運用から広告まで5つあり、媒体もLINEからTikTokまで6つ以上あります。そのすべてに手を出す余力はない。SNSマーケティングでつまずく原因の多くは、知識の不足ではなく、目的を1つに絞らないまま始めることにあります。この記事では5つの手法を並べるのではなく、認知・獲得・関係維持・採用という目的から手法を1つに絞る順路を示します。媒体の選び方は、総務省の調査による年代別の利用率をもとに整理します。株式会社FIZは、自治体・ホテル・エンタメ・採用と、目的の異なる案件を手がけてきました。読み終える頃には、自社が最初に取り組む手法と媒体が1つに決まり、誰が担当するかまで見通せるようになります。
SNSマーケティングとは|SNSを使って買われる流れを作ること
SNSマーケティングとは、SNSを通じて商品やサービスが知られ、選ばれる流れを作る取り組みです。投稿することそのものではなく、知ってもらう、思い出してもらう、買ってもらうという一連の流れを設計する仕事にあたります。
5つの手法
SNSマーケティングと呼ばれるものは、次の5つに分かれます。
| 手法 | 内容 | 費用の性質 |
|---|---|---|
| アカウント運用 | 自社アカウントで投稿を積み上げる | 人件費または外注費。時間がかかる |
| SNS広告 | 費用を払って配信枠を買う | 広告費。出せば即日届く |
| インフルエンサー施策 | 発信力のある個人に依頼する | 起用費。第三者の言葉として届く |
| ユーザー投稿の活用 | お客様の投稿を促し、紹介する | 企画費。信頼されやすい |
| ソーシャルリスニング | SNS上の声を集めて分析する | ツール費。商品改善に使う |
この5つは並列ではありません。目的によって、最初に選ぶべきものが変わります。
「SNS運用」との違い
現場では「SNS運用」と「SNSマーケティング」が同じ意味で使われがちです。厳密には、SNS運用は上の表のアカウント運用のことを指します。
つまりSNS運用はSNSマーケティングの一部です。投稿を続けているのに成果が出ないという相談は少なくありません。その多くは、アカウント運用だけを指してSNSマーケティングと呼んでいる状態から起きています。
目的から手法を1つに絞る
最初に決めるのは媒体でも投稿内容でもなく、目的です。目的が決まれば手法は自動的に絞られます。逆に目的が2つ以上あると、どの手法も中途半端になります。
認知を広げたい場合
まだ知られていない、名前を思い出してもらえないという課題なら、届く人数を増やす手法を選びます。SNS広告か、インフルエンサー施策です。
アカウント運用は認知の入口としては時間がかかります。フォロワーがいない状態では、投稿しても届く相手がいないためです。
株式会社FIZは東京都中央区観光商業まつりのInstagramアカウントを運用しました。地域や催しの認知を広げる場合も、初期は届け方の設計が要になります。誰に知ってもらいたいのかが決まらないうちは、投稿の頻度を上げても届く範囲は広がりません。
問い合わせ・購入を増やしたい場合
すでに知られていて、あと一歩の後押しが必要な段階ならSNS広告が向きます。誰に届けるかを絞り、行動につながる文言で配信できるためです。
追う数字も明確になります。問い合わせ件数、購入件数、1件あたりの獲得費用の3つです。広告の費用の仕組みは広告運用代行の記事で整理しています。
既存のお客様との関係を保ちたい場合
一度買ってくれた人にもう一度来てもらいたい、という目的ならアカウント運用が中心になります。継続して情報が届く関係を作る手法だからです。
この目的では、フォロワーの数より、投稿への反応の割合を見ます。数が少なくても反応が濃ければ、関係は保てています。
フォロワーを増やす施策と、関係を保つ施策は別物です。数を追って無関係な層を集めると、反応の割合はかえって下がります。既存のお客様との関係が目的なら、増やすことを目標に置かないでください。
採用の応募を増やしたい場合
働く人の姿や職場の空気は、求人票では伝わりません。この領域は動画との相性がよく、アカウント運用と広告の組み合わせで進めます。
株式会社FIZは採用目的のTikTok・Instagramアカウント運用を手がけました。採用は目的が明確なぶん、測る数字も応募数に定まります。数字が1つに決まると、投稿の良し悪しも判断しやすくなります。
媒体の選び方|年代別の利用率で決める
媒体は、狙う年代の利用率で決めます。感覚ではなく、公表されている調査の数字を見て選ぶほうが社内の合意も取りやすくなります。
主要6サービスの利用率
出典は総務省情報通信政策研究所の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」です。13歳から79歳までの1,800人を対象にした調査で、主要なサービスの利用率は次のとおりです。
| サービス | 全年代 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LINE | 92.9% | 96.4% | 97.7% | 97.9% | 96.6% | 95.6% | 92.0% | 77.8% |
| YouTube | 81.5% | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% | 48.5% |
| 54.8% | 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | 15.8% | |
| X(旧Twitter) | 44.7% | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% | 10.8% |
| TikTok | 36.7% | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% | 11.1% |
| 27.0% | 14.3% | 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% | 22.6% | 12.5% |
同じ調査では、男女差も出ています。Instagramは男性46.2%に対して女性63.4%、TikTokは男性31.8%に対して女性41.7%です。Xは男女とも44.7%で差がありません。
狙う年代から媒体を絞る
この表を縦ではなく横に読むと、媒体の性格が見えてきます。
- どの年代にも届く:LINEとYouTube。60代でも7割を超える
- 20代から40代に厚い:InstagramとX。ただし60代以降で急に落ちる
- 年代が下がるほど強い:TikTok。10代で67.9%、70代で11.1%
- 30代から50代に寄る:Facebook。10代は14.3%と低い
50代以上を狙うなら、TikTokに投じても届きません。逆に10代を狙うのにFacebookを選ぶと、7人に1人にしか接点がありません。
狙う層に女性が多い商材なら、Instagramの差も見ておいてください。全年代では54.8%ですが、女性に限れば63.4%です。TikTokも女性のほうが約10ポイント高くなっています。同じ媒体でも、届く割合は狙う層で変わります。
商材の見え方から媒体を絞る
年代で候補が2つに絞れたら、商材の見え方で決めます。写真1枚で価値が伝わるならInstagram、使い方や体験の流れを見せる必要があるならTikTokやYouTubeです。
縦型の短い動画で伝える方法はTikTok運用代行の記事にまとめています。Instagramの運用を外に出す場合の相場はインスタ運用代行の比較記事で扱っています。
SNSマーケティングの始め方4ステップ
始め方でつまずくのは、たいてい3つ目です。目的と媒体まで決めても、誰がやるかが決まらないまま止まります。
目的と、追う数字を1つ決める
先に挙げた4つの目的から1つを選び、対応する数字を決めます。認知なら届いた人数、獲得なら問い合わせ件数、関係維持なら投稿への反応の割合、採用なら応募数です。
数字は1つに絞ってください。複数を同時に追うと、施策の良し悪しを判断できなくなります。
手法と媒体を1つに絞る
目的が決まれば手法は絞られます。媒体は年代の利用率で選びます。ここまでで「20代に認知を広げるためにInstagramで広告を出す」のような1文になれば、設計として成立しています。
この1文が書けない場合は、目的か媒体のどちらかがまだ決まっていません。社内で意見が割れているなら、決裁者に優先順位を確認するところからです。
誰が担当するかを決める
ここが最も現実的な壁です。選択肢は3つあります。
| 体制 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 社内で担当する | 商品情報が社内にあり、週に数時間を確保できる | 兼務だと更新が止まりやすい |
| 外部に任せる | 社内に手が空く人がいない、専門知識が必要 | 商品情報の提供と確認は社内に残る |
| 併用する | 企画と制作を外に出し、投稿と反応対応は社内 | 役割の線引きを最初に決める |
週に何時間使えるかを先に数えてください。時間が確保できないまま社内で始めると、2カ月ほどで更新が止まります。外部に任せる場合の進め方はSNS運用代行の記事にまとめています。
3カ月続けてから判断する
判断のタイミングは3カ月後に置きます。1カ月では投稿数も配信量も足りず、良し悪しを分ける材料が揃いません。
3カ月続けたうえで、決めた数字が動いたかを見ます。動いていなければ、手法か媒体のどちらかを変えます。両方を一度に変えると、何が効いたのかが分からなくなります。
成果が出ないときの3つの原因
うまくいかない理由は、たいてい次の3つのどれかです。
目的が複数ある
認知も獲得も採用も、という状態が最も多い原因です。投稿の内容がぶれ、届ける相手も定まりません。
社内から複数の要望が来る場合は、優先順位をつけて時期をずらしてください。同時にやるのではなく、3カ月ごとに主題を移すほうが結果が出ます。
更新が止まる
兼務の担当者が繁忙期に入ると、投稿が止まります。止まった期間が空くほど、再開してもフォロワーの反応は戻りません。
対策は、投稿の頻度を下げてでも続けられる本数に設定することです。週5本で1カ月止まるより、週1本を1年続けるほうが積み上がります。
投稿の素材をまとめて作っておく方法もあります。撮影や制作を月に1度に集約し、公開だけを週次で行う形です。担当者の繁忙期が読めているなら、その前にまとめて用意しておくと止まりません。
数字を見ていない
投稿しているが振り返っていない、という状態です。どの投稿の反応が良かったかを記録していないと、次の投稿が勘に頼ったものになります。
月に1回、上位と下位の投稿を並べるだけで十分です。共通点が見えてくれば、次に何を作るかが決まります。
見る数字は、決めた目的に対応するもの1つに絞ってください。表示回数、保存数、遷移数と並べても、どれを良しとするかが決まっていなければ判断できません。
SNSマーケティングのよくある質問
どのくらいで成果が出ますか
手法によって変わります。広告は配信した当日から数字が動きますが、アカウント運用は数カ月単位です。いずれの場合も、判断は3カ月続けてからにしてください。
複数のSNSを同時に始めてもよいですか
社内に専任の担当者がいるなら可能です。兼務であれば1つに絞ってください。媒体ごとに投稿の形式も反応の傾向も違うため、同じ素材を流用しても成果は出にくくなります。
増やすなら、1つ目で手応えが出てからにしてください。何が効いたかが分かっている状態なら、2つ目の立ち上がりは早くなります。
広告を出さずに成果は出ますか
出ます。ただし時間がかかります。フォロワーがいない状態から届く範囲を広げるには、投稿を積み上げる期間が必要です。急ぐ理由がある場合は、広告で入口を作りながらアカウントを育てる形が現実的です。
社内に担当者がいない場合はどうすればよいですか
外部に任せるか、企画と制作だけ外に出す形を選びます。ただし、任せた場合も商品情報の提供と掲載内容の確認は社内に残ります。この分の時間は確保が必要です。会社の選び方はSNSマーケティング会社の選び方に、費用の目安はSNS運用代行の相場の記事にまとめています。
まとめ:SNSマーケティングは「目的を1つに絞る」ところから
- SNSマーケティングは、アカウント運用・広告・インフルエンサー施策・ユーザー投稿の活用・ソーシャルリスニングの5つに分かれる
- 手法は目的で決まる。認知なら広告かインフルエンサー、獲得なら広告、関係維持ならアカウント運用
- 媒体は狙う年代の利用率で選ぶ。50代以上にTikTokは届かず、10代にFacebookは届かない
- 始め方でつまずくのは「誰がやるか」。社内・外注・併用の3つから、確保できる時間で決める
- 判断は3カ月後。数字が動かなければ、手法か媒体のどちらか一方だけを変える
まずは自社の目的を、認知・獲得・関係維持・採用のどれか1つに書き出してみてください。ここが決まれば、選ぶべき手法は自動的に絞られます。
株式会社FIZは、Z世代に届くSNSマーケティング・インフルエンサー施策に強みを持つ会社です。自治体の観光プロモーションから企業の採用まで、目的の異なる案件を手がけてきました。ご相談はお問い合わせページからお願いします。