SNSマーケティング 27 min read

企業のSNS炎上対策|予防と初動の決め方

企業のSNS炎上対策|予防と初動の決め方

公式アカウントを持っていると、炎上の不安がついて回ります。ガイドラインは作ったのに、1本の投稿が公開されるまでに誰が何を見るかまでは決まっていない。荒れ始めたら誰が気づいて、誰が止めるのかも決まっていない。そういう状態のまま、今日も投稿が出ていきます。

この記事でわかること

  • 炎上の原因の5つの型
  • 投稿前の確認体制
  • SNSの監視(モニタリング)体制と若い層の反応の読み方
  • 24時間以内の初動対応
  • 代行会社と決めておくこと

読み終えたあとには、自社の確認の工程と、最初の1時間の動きを紙に書けます。

企業のSNS炎上対策は予防・初動・外注先の3つ

企業のSNS炎上対策は、投稿を出す前の予防、荒れ始めてからの初動、外注先との取り決めの3つです。3つは受け持つ側が違うため、どれか1つを整えても、残りが空いていれば動けません。ここでいう炎上は、投稿や対応に批判が集まり、自社のアカウントの外まで広がっている状態を指します。

3つの範囲 扱うこと 主に持つ側
予防 触れない題材、投稿前の確認、SNSの監視体制 発注側と代行会社
初動 気づいてから24時間の動き、外に出す文面 発注側
外注先との取り決め 監視する時間帯、第一報の経路、止める権限 双方の合意

どの範囲から手をつける場合も、その前に社内で決めることが4つあります。触れない題材、第一報の連絡先、止める権限、公表の承認者です。

「炎上が怖い」の中身3つ

「炎上が怖い」に含まれる3つの不安は、手当てする場所がそれぞれ違います。自社にどれが当てはまるかで、先に整える場所が決まります。

不安の中身 何が起きている状態か 手当てする場所
自社で火をつける 出せない題材や表現が、確認を通らずに公開される 投稿前の確認体制
気づくのが遅れる 荒れ始めてから数時間、誰も見ていない SNSの監視体制と、外注先との取り決め
止める人が決まっていない 気づいた人に、消す・残すを決める権限が無い 社内で決める4つ

確認の工程を厚くしても、深夜に誰も見ていなければ気づくのは翌朝です。24時間見ていても、止める人がいなければ画面を見ているだけになります。

ガイドラインと確認の工程の違い

ガイドラインを作っても、公開までの手順が変わらなければ、危ない投稿は止まりません。ガイドラインは判断の基準を書いた紙で、工程はその基準をいつ誰が使うかを決めた手順です。共有フォルダに置いた紙は、急いでいる日ほど開かれません。

紙を工程に変えるには、2つを決めます。

  1. 投稿案を置く場所:公開前の投稿案をどこに置き、そこで何を見るか
  2. 通らなかったときの戻し先:確認で止まった投稿を、誰が書き直すか

この2つが決まると、紙を開かない日でも、投稿は置き場所で止まります。

運用を外注している場合の担当

代行会社に運用を任せると、投稿を作るのは代行会社、承認するのは発注側になります。コメントに最初に気づくのも多くは代行会社ですが、消すか残すかを決めるのは発注側です。

この分かれ方が問題になるのは、荒れ始めた最初の数時間です。気づいた側に決める権限が無く、決める側はまだ気づいていません。

先に社内で決める4つ

この4つは代行会社には決められないため、話し合う前に社内で決めておきます。人に関わる3つは、役職ではなく名前で決めます。

  1. 触れない題材:どの題材を扱わないかを一覧にする
  2. 第一報の連絡先:異常に気づいた人が、最初に誰へ伝えるかを決める
  3. 止める権限:投稿を消す・非表示にすると決められる人を決める
  4. 公表の承認者:外に出す文面を承認する人を決める

4つが決まっていれば、代行会社との話し合いは「その人にどう届けるか」から始められます。

炎上の原因の5つの型

炎上の原因は、題材・公開の時刻・表現・権利と表示・運用の操作の5つの型に分かれます。どの型も、投稿前の確認か日ごろの運用のどこかで止められます。自社の投稿予定を1本ずつ5つの型に当てはめると、危ない投稿を公開前に見つけられます。

原因の型 起きること 止める場所
題材 扱った話題そのものに反発が出る 題材の確認
公開の時刻 出した日の出来事と重なり、受け取られ方が変わる 時刻の確認
表現 書いた側の意図と違う意味で読まれる 表現の確認
権利と表示 素材を無断で使っている、広告であることを伏せていると受け取られる 権利の確認
運用の操作 別のアカウントに出す、消したつもりの投稿が残る アカウントの権限と端末の管理

型①題材

題材の型では、書き方をどれだけ整えても、扱ったこと自体に反発が出ます。政治、宗教、性別や家族のあり方、災害や事故がこれにあたります。善意で社会的な課題を取り上げた投稿でも、企業がその話題を扱う立場にあるかが問われます。

確認すること:社会的な課題、災害、特定の属性に触れる投稿が、予定に入っていないか。

型②公開の時刻

公開の時刻の型は、大きな事故や災害が起きた日や追悼の日に、楽しさを前に出した投稿が出る場合です。中身に問題がなくても、その日の出来事と重なると、配慮が無いと受け取られます。

題材と時刻は、組み合わせで決まります。普段なら問題のない題材でも、特定の日には出せなくなります。

確認すること:予約済みの投稿のうち、記念日や季節の行事に合わせたものはどれか。

型③表現

表現の型の入口は、冗談や言葉遊び、外見や属性に触れる言い回し、根拠のない言い切りです。投稿は前後の文脈を外して引用されるため、1文だけで読まれても同じ意味になるかが分かれ目です。

確認すること:投稿文を1文だけ切り取って読んでも、同じ意味になるか。

型④権利と表示

権利と表示の型は、無断で使った素材と、頼んだことが見えない宣伝の投稿から起きます。素材の側の入口は、写り込んだ人や場所、使った音源、他者の文章や画像の引用です。

表示の側の入口は、インフルエンサーや社員に頼んだ投稿で、頼んだことが見えない場合です。広告であることを隠した宣伝はステルスマーケティングと呼ばれ、それ自体が批判の的になります。

確認すること:人に頼んだ投稿で、頼んだことが見る人に分かるか。

型⑤運用の操作

運用の操作の型は、投稿の中身ではなく操作の誤りから起きます。個人向けの投稿を公式アカウントに出す、下書きを公開する、予約の日時を取り違える、といった誤りです。消したつもりの投稿も、消す前に画面を保存されていれば残り続けます。

確認すること:公式アカウントを開く端末で、個人のアカウントも使っていないか。

反応がアカウントの外へ広がる流れ

反応は、自社の投稿のコメント欄から始まり、引用や再投稿でアカウントの外へ、まとめ記事や報道でSNSの外へと広がります。外に出るほど、自社で選べる手は減ります。

広がりの段階 起きていること 自社で選べる手
コメント欄の中 投稿を見た人が、指摘や質問を書く 事実を確かめて返答する、表現を直す
引用や再投稿で、アカウントの外へ 指摘に言葉が足され、フォロワー以外に運ばれる 事実を確かめ、外に出すかどうかを決める
まとめ記事や報道で、SNSの外へ SNSを使わない人にも伝わる 公表する文面で説明する

SNSの外まで出ると、影響は投稿の話で終わりません。問い合わせや予約の動き、採用の応募、取引先からの確認として返ってきます。どの段階で気づけるかは、SNSの監視体制で決まります。

予防①投稿前の確認体制

投稿前の確認は、題材・表現・権利・公開の時刻の4つに分け、手戻りの大きい順に見ます。前で止まる投稿に後ろの確認をかけずに済むため、確認にかかる時間が減ります。

投稿前の確認は「手戻りの大きい順」に見る

確認の4項目と見る順番

題材を最初に、時刻を最後に見ます。題材の確認で止まる投稿は、表現や権利を直しても出せません。時刻の確認は、公開の直前でなければ判断できません。

  1. 題材の確認:この題材で出してよいか
  2. 表現の確認:誰が読んでも同じ意味になるか
  3. 権利の確認:使ってよい素材か。広告であることが分かるか
  4. 時刻の確認:いま出してよい日か

政治に触れないことと誤字の確認を同じ並びに置くと、どれを先に見るかが決まりません。

①題材の確認

題材の一覧を「扱わない」と「条件つきで扱う」の2つに分けると、社会的な題材を一律に断らずに済みます。

一覧の種類 中身の例 運用の仕方
扱わない題材 政治、宗教、他社への批判 例外を作らず、企画の段階で落とす
条件つきで扱う題材 社会的な課題、災害や事故、追悼の日 誰の承認を取るかを先に決める

社会的な題材を扱う発信が避けられない場面もあります。株式会社FIZは大阪バス協会の2024年問題の啓蒙プロモーションを手がけました。社会的な題材は、扱わないと決めるのではなく、どこまで踏み込むかの線を先に引いて進めます。

不動産の広告表示のように、業種の側に先に決まりがある題材もあります。こうした題材は、条件つきで扱う側の一覧に入れます。

②表現の確認

表現の確認は、観点を書き出したうえで、投稿を作った人とは別の1名が見ます。観点は次の4つです。

  • 別の意味に読めないか
  • 誰かを下に置いていないか
  • 数字や事実の言い切りに、根拠があるか
  • 社名・商品名・人名の表記が正しいか

複数人で見る形にすると、それぞれが「ほかの人も見ている」と考え、確認が薄くなります。観点を書き出しておけば、担当者の感覚に頼らずに済み、担当が替わっても同じ確認ができます。

③権利と広告表示の確認

写り込み・音源・引用は、使う許可がそろうまで公開しません。人に頼んだ投稿は、広告であることが見る人に分かる形にしてから出します。

消費者庁は、広告であることが一般消費者に分からない表示を、2023年10月1日から景品表示法の規制の対象にしています。

権利の確認の手間は、起用する人数が増えるほど大きくなります。株式会社FIZはホテルニューオータニ大阪のナイトプール施策を手がけました。起用したのはInstagramで41名、TikTokで15名の計56名です。この規模になると、広告であることの表示を56名分そろえる作業になります。

④公開の時刻の確認

時刻の確認は、公開するその日に、今日出してよい日かを見ます。予約投稿は予約した時点の判断のまま出るため、当日の出来事を知りません。大きな事故や災害が起きた日にも、楽しさを前に出した投稿が自動で出ます。

止められるようにするには、3つを決めます。

  • 誰が見るか:朝の決まった時刻に、予約された投稿の一覧を見る担当を決める
  • どう止めるか:予約を解除できる人を、見る担当とは別にもう1名置く
  • いつまでに決めるか:出すか止めるかの判断の期限を、公開の何時間前と決める

投稿の種類ごとの承認の道筋

承認を重くするのは、キャンペーンや人を起用する投稿と、社会的な題材に触れる投稿の2種類に絞ります。すべての投稿を上の役職の承認に通すと、承認待ちが積み上がり、急ぎの日に確認そのものが飛ばされるためです。

投稿の種類 例 重く見る確認 承認する人
通常の投稿 営業の案内、商品の紹介、日々の写真 表現、時刻 運用を担当する部署の責任者
キャンペーンと、人を起用する投稿 プレゼント企画、インフルエンサーや社員が出る投稿 権利と表示 担当部署の責任者と、応募の規約や表示を確かめる部署
社会的な題材に触れる投稿 条件つきで扱う題材の一覧に当たるもの 題材 題材の一覧で先に決めた承認者

ガイドラインと確認の表

ガイドラインと確認の表は1枚にまとめ、投稿案を置く場所から開けるようにします。ガイドラインに書く項目は7つです。

  1. 発信の目的と、届けたい相手
  2. 言葉づかいと見た目の決まり(トーン&マナー)
  3. 扱わない題材と、条件つきで扱う題材
  4. 禁止事項(書かない情報・使わない素材)
  5. 権限の範囲(投稿する人・承認する人・止める人)
  6. 第一報の連絡先と、公表の承認者
  7. 見直しの時期

投稿のたびに使うのは、次の確認の表です。

チェック項目 確認内容
題材 扱わない題材に当たらないか。条件つきの題材なら、承認を取ったか
表現 1文だけ切り取っても同じ意味になるか。作った人と別の1名が見たか
権利 写り込み・音源・引用に、使う許可があるか
表示 人に頼んだ投稿で、広告であることが分かるか
時刻 公開の当日に、今日出してよい日かを見たか
アカウント 出す先のアカウントが正しいか
公開後 公開から数時間、コメント欄を見る人が決まっているか

予防②SNSの監視体制と社内への共有

日ごろの備えとして決めるのは、監視する人、アカウントに入れる人、社員個人の発信の範囲、迷ったときの相談先の4つです。公開後の反応と社員個人の発信は、投稿前の確認では止められないためです。

監視する人・時間帯・場所

監視する人を名前で決め、監視する時間帯と場所を書き出します。「気づいた人が対応する」形では、誰も見ていない時間が生まれます。

見る場所 見るタイミング
自社の投稿のコメント欄とメッセージ 公開の直後と、その日の終わり
自社名・商品名での検索結果 毎日決まった時刻
自社の投稿の引用や再投稿 公開の直後と、コメントが増えたとき

自社名や商品名がSNSでどう語られているかを調べることを、ソーシャルリスニングと呼びます。検索結果を見るのは、この一部です。

コメントで届いた不満は、問い合わせ窓口に届いた不満と同じ記録に入れます。受け口が2つに分かれていると、同じ不満が繰り返し届いていても気づけません。

アカウントの権限と端末

公式アカウントにログインできる人を一覧にし、業務用の端末だけで開くと決めます。決めることは5つです。

  • 一覧:名前、できる操作(投稿・承認・削除)、使う端末を書く
  • ログインの確認:パスワードに加えて2つ目の確認を求める設定(二段階認証)を入れる
  • 端末:個人のアカウントと同じアプリで切り替えない
  • 異動と退職:その日のうちに権限を外し、パスワードを変える
  • 代行会社:パスワードを共有しない。SNSに管理者を分ける機能があれば、担当者ごとに権限を付ける

端末を分けておくと、運用の操作の型のうち、アカウントの取り違えを防げます。

社員個人の発信と顧客対応

社員個人の投稿と顧客対応への不満の投稿は、公式アカウントの確認を通りません。先に決めておけるのは、書いてはいけない情報の範囲と、広がったときに誰が受けるかです。

広がり方 起きること 先に決めておくこと
社員個人の投稿 業務で知った情報や社内の写真が、個人のアカウントから出る 個人のアカウントに書かない情報の範囲。社名を出して発信する社員には、出してよい範囲を個別に決める
顧客対応への不満 店頭や電話での対応への不満が、顧客のアカウントから投稿される 顧客対応の窓口と、SNSを監視する人の間の連絡経路
社員による社内の問題の投稿 社内の問題が、社員の手でSNSに書かれる 発信の決まりでは止まらない。社内の相談窓口が働いているかを、担当部署と別に確かめる

社員が公式の発信に出る場合は、本人の同意の取り方も決めておきます。

社内への共有

社内に伝えるのは、禁止事項の一覧よりも、迷ったときに誰に聞けばよいかです。禁止事項は並べるほど読まれなくなり、書かれていない場面では判断の手がかりになりません。

伝えることは3つに絞ります。

  1. 迷ったときの相談先(部署と名前を1つ)
  2. 業務で知った情報を、個人のアカウントに書かないこと
  3. 公式アカウントが荒れたときは、個人で反応せず、相談先に伝えること

伝える時期は、入社したとき、異動したとき、ガイドラインを見直したときの3回です。

予防③若い層の反応の読み方

若い層に向けた発信では、荒れ始めの兆しが、拡散の多い場所より先に、コメント欄や短尺動画の反応に出ることがあります。見る場所を広げ、言葉の強さではなく同じ指摘の数で読みます。狙う年代がどのSNSを使っているかは、令和7年版 情報通信白書(総務省)で確かめられます。

兆しが出る場所

兆しが出る場所は1つではないため、見る場所を1つに決めると、そこに出ない兆しを見落とします。

見る場所 見落としやすい理由
投稿のコメント欄 件数が少ないうちは、通常の反応に見える
引用(言葉を足して再投稿する機能) 自社の通知に出ないことがある
ストーリーズでの再投稿 24時間で消え、後からさかのぼれない
短尺動画のコメント フォロワー数から、反応の量を読めない

記録が残りにくい場所では、気づいた時点で画面を保存します。見る場所は、媒体の機能が変わるたびに増えます。

批判とそうでない反応の見分け方

見分ける材料は、言葉の強さではなく、同じ趣旨の指摘が別々の人から何件出ているかです。見分けを誤ると、批判でない反応に謝って話を広げるか、静かな指摘を見過ごして気づくのが遅れます。

見え方 実際の中身 どう扱うか
強い言葉が並ぶ 親しみを込めた言い方 通常の反応として扱う
冗談の形をしている 指摘そのものは事実に基づく 中身を取り出して確かめる
静かな短い一言 事実の誤りを指摘している 記録して、事実を確かめる
質問の形をしている 返答が引用されて運ばれる 文面を1名で決めてから返す

株式会社FIZはZ世代で構成された会社です。メンバーが日ごろ目にする反応でも、言葉の強さと中身は一致しないことがあります。

公開前の若い層による確認

公開前に、狙う世代の当事者に投稿案を見てもらう工程を1つ置くと、社内の感覚だけでは気づけない読まれ方を拾えます。表現の確認とは別の工程で、見るのは届けたい層の感覚として自然に読めるかです。株式会社FIZでは、Z世代の当事者が公開前の投稿案を見る工程を置いています。

見る観点は3つです。

  • その言い回しが、届けたい層の中で別の意味を持っていないか
  • 内輪でしか通じない言い方が、外の人にどう見えるか
  • 拡散されたとき、拡散する側が付ける文脈は好意的か

社内に該当する年代がいなければ、外部の目を1名借りる形でも構いません。

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24時間以内の初動対応

初動では、最初の1時間は記録と連絡だけを行い、外に何かを出すかは24時間以内に決めます。区切りごとに決めてよいことが違い、早すぎる判断は取り消せず、遅い判断は選べる手を減らすためです。

初動は「時間の区切り」で決めることが違う

区切り この時間で決めること
1時間以内 気づいた事実を集める。判断はしない
6時間以内 何が起きたかを確かめ、広がりの範囲を測る
24時間以内 外に出すか出さないかを決める
翌日以降 運用を戻し、確認の工程に1行足す

1時間以内:3つの対応

最初の1時間でやるのは、画面の保存、第一報、新規の投稿の停止の3つです。

  1. 画面を保存する:該当の投稿、コメント、引用されたものを記録に残す
  2. 第一報を入れる:先に決めた連絡先へ、いつ・どの投稿に・どういう反応が・何件出ているかを伝える
  3. 新規の投稿を止める:予約されている投稿を解除する

投稿を消すかどうかは、この時間には決めません。1時間では何が起きているかが分からず、消せば消したこと自体が新しい話題になります。記録も一緒に消えます。

6時間以内:事実と範囲の確認

6時間以内に確かめるのは、何が指摘されているのかと、どこまで広がっているかの2つです。指摘の中身は、3つに分けて見ます。

  • 事実の誤り:何が違い、正しくは何か
  • 表現の受け取られ方:どの言い回しが、どう読まれたか
  • 事実でない情報:どこから出た話か、いつからか

広がりの範囲は数で測ります。同じ趣旨の指摘が何件出ているか、アカウントの外でどれだけ運ばれているかを見ます。6時間の時点でも、消すか残すかはまだ決めません。

24時間以内:外に出すかの判断

24時間以内に決めるのは、外に向けて何かを出すかどうかです。出さないと決めた場合も、その判断を記録に残します。

指摘の中身 外に出すもの 元の投稿の扱い
事実に誤りがあった 訂正。何が誤りで、正しくは何かを書く 訂正を添えて残す。消すなら、消したことを訂正の中で書く
表現の受け取られ方 説明。意図と、今後どうするかを書く 説明と同時に決める。消すなら、消したことを説明の中で書く
事実でない情報が流れている 確かめられる事実だけを出す 残す
通常の反応の範囲 出さない。記録だけ残す 残す

謝罪を含めるのは、自社に誤りがあったと確かめられた場合です。出すと決めたら、書く人と承認する人を分けます。代行会社に下書きを頼む場合も、承認は発注側が行います。

文面で守ることは3つです。

  • 確かめた事実だけを書く
  • 原因と、今後の対応を書く
  • 特定の人を責めない

翌日以降:運用の再開と工程の見直し

翌日以降にやるのは、運用を戻すことと、同じことが起きない工程にすることの2つです。

止めていた予約投稿は、そのまま再開しません。止める前に作った投稿は、状況が落ち着く前の前提で作られていることがあるためです。再開は通常の案内から始め、キャンペーンや人を起用する投稿は後に回します。起用していたインフルエンサーや取引先には、公表した内容と再開の時期を個別に伝えます。

工程に足すのは1行です。4つの確認のどこで止められたはずかを特定し、その確認に見る観点を1つ足します。一度に何行も足すと確認が重くなり、急ぐ日に飛ばされる原因になるため、足すのは毎回1行だけにします。

やってはいけない3つ

3つとも、その場は収まったように見えて、後から話を大きくします。

  • 黙って消す:消した事実は保存した人の手元に残り、後から説明する場面が来ます
  • 個別に言い返す:1件ずつ返信すると、返信そのものが引用されて運ばれます
  • 深夜に出す:夜中に出した文面は翌朝に読まれ、書く側の判断力も落ちています

法的な手続きが要る場合

削除請求や発信者情報の開示など法的な手続きが要る段階では、自社の法務や弁護士などの専門家に相談してください。どの手続きが取れるかは法律の判断で、運用の担当者が決めることではありません。

担当者の役目は、相談に持っていく記録をそろえることです。

  • 投稿のURL、投稿された日時、投稿者の表示名
  • 投稿とコメントの画面の保存
  • 気づいてから何をしたかの時系列の記録

相談するまでの間、担当者から投稿者に直接連絡することは控えます。

代行会社と決めておくこと

運用を任せている場合の備えは、契約書の条項、運用の取り決め、当番表と連絡経路の3つの層で積み上がります。契約書だけでは、荒れた夜に実際に動く人が決まりません。

外注時の備えは「3つの層」で積み上がる

層 決めること これだけだと何が起きないか
契約書の条項 誰が責任を負い、何を行うか 深夜に誰の携帯も鳴らない
運用の取り決め 何時まで監視するか、何分以内に伝えるか 今週その時間に誰がいるかが決まらない
当番表と連絡経路 今週は誰か、休みのときは誰か —

契約書の条項で決まる範囲

契約書の条項が決めるのは責任の所在と業務の範囲までで、今週の当番が誰かは書けません。そのため条項の上に、運用の取り決めと、当番表と連絡経路の2つを積みます。

当番の時間帯

監視する時間帯は、平日の日中、夜間、休日と連休の3つに分けて決めます。

  1. 平日の日中:何時から何時まで、誰が監視するか
  2. 夜間:監視するのかしないのか。するなら誰の携帯に通知を出すか
  3. 休日と連休:当番を置くのか、翌営業日まで監視しないのか

監視しないと決めることも、決めた判断です。その場合は、翌朝に最初に確認する人と時刻を決めます。夜間や休日の当番を足すと、見積書の行が動きます。

第一報の連絡経路

第一報の経路は1本にします。経路が複数あると、伝えた側は伝えた気になり、受ける側は見ていない状態が起きます。決めることは3つです。

  • どこへ入るか:メール、チャット、電話のどれか1つを主な経路にする
  • 誰に入るか:受ける人を名前で決める。役職名だけにしない
  • 代わりは誰か:その人が休みや移動中のときに受ける2人目を決める

2人目を決めていない経路は、休みの日に止まります。

投稿を止める権限

投稿を消す、非表示にする、公開を止めるという判断は、発注側に置きます。その投稿がブランドにとって持つ意味は、運用を受ける側では決められないためです。

例外は1つだけです。発注側に連絡がつかない場合に限り、代行会社が一時的に非表示にできるようにします。何分連絡がつかなければ例外が働くのかを、数で決めてください。数が無いと、例外が通常の運用になります。

承認が発注側だけで完結しない運用もあります。株式会社FIZが運用した東京都中央区観光商業まつりのInstagramアカウントは、主催者側の確認が要る形でした。関係する組織が複数あるときは、止める権限を持つ組織を1つに決めます。

取り決めの見直し

取り決めは3か月ごとに見直します。異動や退職で当番表の名前が合わなくなり、使うツールが変われば連絡経路が止まるためです。

見直すのは、触れない題材の一覧、当番表、連絡経路の3つです。あわせて、その3か月にSNSで話題になった出来事を並べ、題材の一覧に足すものがないかを確かめます。3か月ごとであれば、月次の報告会の3回に1回に議題を1つ足すだけで回せます。

企業のSNS炎上対策に関するよくある質問

監視のツールは導入したほうがよいですか

ツールより先に決めるのは、監視する時間帯と第一報の経路です。監視する人と受ける人が決まっていなければ、ツールが通知を出しても誰も動けません。

フォロワーが少ないうちから対策は要りますか

要ります。引用や再投稿で運ばれると、フォロワーの数に関係なく、外の人の目に入るためです。フォロワーが少ないうちは投稿の本数も少なく、確認の工程を入れる手間も小さく済みます。まずは触れない題材の一覧と、第一報の連絡先の2つから決めてください。

過去の投稿を掘り返されたときはどうすればよいですか

いま読まれてどう受け取られるかで判断し、動き方は新しい投稿が荒れたときと同じにします。最初の1時間で画面を保存し、第一報を入れ、6時間以内に指摘の中身を確かめます。予防としては、3か月ごとの見直しのときに、過去の投稿を題材の一覧に照らして見ておきます。まとめて消すと、消したこと自体が話題になることがあるため、消すかどうかは1本ずつ決めます。

炎上したアカウントは、閉じたほうがよいですか

初動の間に閉じる判断はしません。閉じても保存された画面と引用は残り、説明を出す場所だけが無くなります。まず新規の投稿を止め、24時間以内に外に出すかどうかを決めます。閉じるかどうかは翌日以降に、運用を戻す見込みが立つかで決めます。

対策を始めるのに、どのくらいの人数と時間が要りますか

人数は、投稿を作る人、表現を見る人、止める権限を持つ人の3つの役が分かれていれば始められます。表現を見る人は、投稿を作る人と兼ねないでください。時間がかかるのは、最初にガイドラインと確認の表を1枚にまとめるときと、3か月ごとの見直しのときです。

まとめ

企業のSNS炎上の原因は型に分けられ、自社の投稿に当てはめて確かめられます。対策は予防・初動・外注先との取り決めに分け、紙を作って終わりにせず、投稿前の確認として工程に足してください。次の社内会議で、自社が触れない題材と、第一報を受ける人の名前を決めてください。

株式会社FIZは、Z世代に届くSNSマーケティング・インフルエンサー施策に強みを持つ会社です。東京都中央区観光商業まつりのアカウント運用や、インフルエンサーを56名起用した施策を手がけてきました。確認の工程や当番の決め方を相談したい場合は、ご連絡ください。