クリエイティブ 12 min read

広告クリエイティブの作り方と外注の判断基準

広告クリエイティブの作り方と外注の判断基準

広告を出すことになり、バナーや動画をどう用意するかで手が止まる。デザインの専門家ではないので、何を何本作ればいいのかが分かりません。決めるべきなのは、実は作り込みの深さではなく本数です。運用型広告では、1本の完成度よりも、何本用意して何回差し替えたかが成果を分けます。この記事では広告クリエイティブが指す範囲を整理したうえで、1広告セットに何本必要かという基準を示します。さらに、作り方の4ステップ、自社で作るか外注するかの分かれ目、外注するときに渡すべき情報をまとめます。株式会社FIZは、ホテルや自治体のプロモーション映像を制作してきました。読み終える頃には、今月何本用意すべきかが分かり、外注する場合の依頼内容を自分で書けるようになります。

広告クリエイティブとは|配信する広告素材そのもの

広告クリエイティブとは、広告として配信される素材のことです。バナー画像、動画、広告文のすべてが含まれます。デザインの美しさを指す言葉ではなく、配信して反応を測る対象を指します。

バナー・動画・広告文の3種類

広告クリエイティブは大きく3つに分かれます。

種類 内容 主な用途
画像 バナー、静止画、カルーセル 情報を一目で伝える。制作の負担が軽い
動画 縦型動画、リール、ストーリーズ向けの短尺 使い方や雰囲気を伝える。視聴の途中経過も測れる
広告文 見出し、説明文、ボタンの文言 画像や動画の意味を補い、行動を促す

同じ画像でも広告文を変えれば別のクリエイティブとして扱われます。組み合わせの数だけ検証の対象が増えるということです。

「制作物」ではなく「検証の単位」として扱う

紙のチラシやテレビCMは、完成度を高めて世に出す一発勝負の制作物でした。運用型広告は違います。複数を同時に配信し、反応の良かったものに予算を寄せていく仕組みです。

つまり1本のクリエイティブは、完成品ではなく仮説の1つです。「この切り口なら響くはずだ」という仮説を素材の形にして、配信して答え合わせをします。この前提が変わると、必要な本数も変わります。

社内でこの認識がずれると、制作の進め方も噛み合いません。1本を何度も直して完成度を上げる進め方は、掲載枠が1つしかない媒体では正解でした。運用型広告では、同じ時間を使うなら別の切り口をもう1本作るほうが情報が増えます。どちらが正しいかではなく、媒体の仕組みが違うという話です。

成果を分けるのは、1本の出来より本数

同じ予算でも、素材が1本しかない場合と5本ある場合では結果が変わります。1本では、反応が悪かったときに打つ手がありません。差し替える弾を持っているかどうかが、改善の速度を決めます。

1広告セットに3〜5本が目安

運用の現場で共通して挙がる本数は、1つの広告セットにつき3〜5本です。この範囲であれば、切り口の違いを比べながら、それぞれの成績も追えます。

本数を増やせばよいわけでもありません。6本以上になると1本あたりの配信量が薄まり、どれが効いたのかを判断しにくくなります。逆に1〜2本では比較する相手がおらず、検証になりません。

本数 起きること
1〜2本 比較対象がなく、反応の良し悪しの理由が分からない
3〜5本 切り口ごとの差が見え、成績の悪いものから差し替えられる
6本以上 1本あたりの配信量が薄まり、効果の判断が難しくなる

差し替えを判断する基準

差し替えるかどうかは、期間ではなく数字で決めます。判断に使うのは次の2つです。

  • 配信量が十分に貯まったか:極端に配信量の少ない素材を、成績が悪いと決めつけない
  • 同じセット内の他の素材と比べて反応が落ちているか:全体が落ちているなら素材ではなく設定の問題

この2つを満たしたものから順に外し、新しい切り口を入れます。全部を一度に入れ替えると、何が効いたのかが分からなくなります。1回に差し替えるのは1〜2本までにしてください。

成績の良い素材を残し続けるのも判断のうちです。反応が落ちていないものまで新しさを理由に外すと、せっかく見つけた当たりを手放すことになります。外すのは、あくまで数字が落ちたものからです。

若い層に向けるほど素材の寿命が短い

20代前半までの層に向けた広告では、素材の入れ替え頻度が上がります。流行している映像の間合い、字幕の付け方、言葉づかいが数カ月単位で変わるためです。

半年前に反応の良かった素材が、そのままでは通じなくなることがあります。年配層向けの商材と同じ本数で予算を組むと、途中で差し替える弾が尽きます。若年層を狙う場合は、制作の本数を多めに見積もってください。縦型動画の考え方はTikTok運用代行の記事でも扱っています。

広告クリエイティブの作り方4ステップ

作る順番は、素材の形を決める前に言葉を決めることです。デザインから入ると、切り口の違う案が出てきません。

誰の何を解決するかを1文にする

最初に「誰のどんな困りごとを、どう解決するか」を1文で書きます。この1文が曖昧なままだと、以降のすべてがぼやけます。

悪い例は「20代女性に商品の魅力を伝える」です。誰の何の困りごとかが入っていません。良い例は「一人暮らしを始めた人が、狭い部屋でも洗濯物を干せるようにする」のように、状況と解決が具体的に入っている形です。

この1文は、外注するときの依頼文にもそのまま使えます。逆に、この1文を書けない状態で発注すると、制作側は商品説明をなぞった素材しか作れません。社内で決められないなら、まず営業担当に「実際に売れるときのお客様の一言」を聞いてください。現場の言葉のほうが、企画書の表現より広告に使えます。

訴求の切り口を3つ以上出す

同じ商品でも、伝え方の入り口は複数あります。切り口を3つ以上出してから素材を作ってください。

  • 困りごとから入る:今の不便を先に見せる
  • 結果から入る:使った後の状態を先に見せる
  • 価格・条件から入る:金額や期間の条件を前に出す
  • 第三者の声から入る:使った人の言葉を前に出す

この段階で複数の案を出しておくと、差し替えのときに慌てません。

切り口ごとに素材を作り分ける

切り口が決まったら、素材に落とします。ここで重要なのは、切り口ごとに1本ずつ作ることです。同じ切り口で色違いを3本作っても、検証にはなりません。

株式会社FIZはエグゼクティブハウス禅のプロモーションムービーを制作しました。この案件でも、施設の何を先に見せるかという入り口の設計から組み立てています。素材の完成度より、どの切り口で入るかが先に決まる順序です。

作り分けの粒度も決めておいてください。切り口が3つなら素材も3本が最小の構成です。ここに「同じ切り口の縦型と正方形」を足すと本数は増えますが、検証しているのは表示サイズであって切り口ではありません。何を比べるための本数なのかを、作る前にはっきりさせておく必要があります。

配信して1要素ずつ検証する

配信したら、変える要素を1つに絞って比べます。画像と広告文を同時に変えると、どちらが効いたのか分かりません。

順番としては、影響の大きいものから試すのが効率的です。多くの場合、切り口そのものの差が最も大きく、次に画像や動画、最後に広告文の細部という順になります。

自社で作るか、外注するかの判断基準

制作を社内でやるか外に出すかは、スキルの有無ではなく、必要な本数と更新の頻度で決まります。月に何本必要かを先に出してから判断してください。

自社で作ったほうが早いケース

次の条件が揃うなら、社内で作るほうが速く回ります。

  • 商品の情報や撮影素材が社内に揃っている
  • 必要な本数が月に数本で、大きな作り分けが要らない
  • 画像編集の作業を担当できる人が社内にいる

社内制作の利点は、差し替えの判断から公開までが短いことです。外注すると、どんなに早くても確認と納品のやり取りが入ります。

外注したほうがよいケース

次のいずれかに当てはまるなら、外注を検討する段階です。

  • 動画が必要で、撮影から編集まで自社で完結しない
  • 月に必要な本数が社内の手持ち時間を超えている
  • 切り口の案が社内から出てこなくなっている
  • 狙う層と社内の担当者の年齢が離れており、表現の勘が働かない

4つ目は見落とされがちです。若年層向けの表現は、社内で「これで大丈夫か」を判断できる人がいないと決裁が止まります。

外注費用の考え方

制作の費用は、頼み方によって形が変わります。運用代行の契約にクリエイティブ制作を含める場合、追加で月額5万〜20万円程度が目安です。制作だけを単発で頼む場合は、本数と尺に応じた個別の見積になります。

金額を比べるときは、月に何本まで作れるかをセットで確認してください。同じ月額でも本数の条件が違えば、1本あたりの負担は変わります。運用の手数料に何が含まれるかは広告運用代行の記事で整理しています。媒体をMetaに絞って会社を探す段階ならMeta広告運用代行の記事が参考になります。

制作を発注するときに渡す3つの情報

外注で品質が落ちる原因の多くは、制作側の技量ではなく渡した情報の不足です。次の3つを最初に渡すと、初稿の精度が上がります。

使ってよい素材と、使えない表現

手元にある写真、ロゴ、過去の制作物のうち、使ってよいものを一覧で渡します。合わせて、使ってはいけない表現も伝えてください。

業種によっては表現の規制があります。効果や効能をうたえない商材、他社との比較が制限される商材では、後から差し戻しが発生しがちです。禁止事項は先に文章で渡すのが確実です。

これまでに反応が良かった素材

過去に配信した素材のうち、成績が良かったものと悪かったものを渡します。数字がなくても、体感で構いません。

この情報があると、制作側は同じ失敗を繰り返さずに済みます。ゼロから当てにいくより、既に分かっていることを起点にしたほうが早く当たります。

いつまでに何本必要か

納期と本数を最初に伝えます。「3本を今月中に、うち1本は動画で」のように、形式まで含めて指定してください。

株式会社FIZは女満別空港エリアのプロモーションムービーを手がけました。このような地域の映像では、撮影できる時期そのものが限られます。季節や天候に左右される素材は、逆算して早めに動く必要があります。

納期を伝えるときは、配信開始日ではなく社内の確認にかかる日数も足してください。法務や広報の確認が入る会社では、初稿から公開まで2週間近くかかることがあります。制作側の納期だけを見て逆算すると、配信の予定が後ろにずれます。

広告クリエイティブのよくある質問

画像と動画はどちらを先に作るべきですか

先に画像から始めるほうが、切り口の検証は早く進みます。制作の負担が軽く、本数を揃えやすいためです。反応の良い切り口が見えてから、その切り口を動画にする順序が無駄になりません。

ただし、動きがないと伝わらない商材は例外です。使い方の手順、施設の広さ、体験の雰囲気などは、静止画では説明しきれません。この場合は最初から動画で組みます。

生成AIで作った素材を広告に使えますか

使えますが、確認すべき点が2つあります。1つは媒体ごとの規定で、生成物の扱いは媒体側のルールが更新されることがあります。もう1つは、人物や実在の商品の描写が事実と食い違わないかです。実際の商品と違う見た目の素材を配信すると、問い合わせ後の落差につながります。

差し替えの頻度はどのくらいが適切ですか

期間で機械的に決めるのではなく、配信量が貯まり、他の素材より反応が落ちた時点で入れ替えます。ただし若年層向けの商材では、素材の寿命が短いため入れ替えが早まります。

制作だけを依頼することはできますか

できます。運用は社内で続け、素材の制作だけを外に出す形は選択肢の1つです。広告費が小さく運用代行の手数料が割高になる場合は、この形が現実的になります。

この形を選ぶなら、配信の結果を制作側に返す仕組みだけは作ってください。どの素材の反応が良かったかが制作側に伝わらないと、次も同じ精度の初稿が上がってきます。月に1回、成績の一覧を共有するだけでも変わります。

まとめ:広告クリエイティブは「本数」と「差し替え」で決まる

  • 広告クリエイティブは完成品ではなく、配信して答え合わせをする仮説の単位
  • 1広告セットにつき3〜5本が目安。1〜2本では検証にならず、6本以上は判断が難しい
  • 作る順番は、言葉(誰の何を解決するか)を決めてから素材に落とす
  • 自社か外注かは、スキルではなく必要な本数と更新の頻度で決まる
  • 発注時は、使える素材・過去の反応・納期と本数の3つを最初に渡す

まずは今出している広告の素材が何本あるかを数えてみてください。3本を下回っていれば、作り込みより先に本数を増やすほうが効きます。

株式会社FIZは、Z世代に届くSNSマーケティング・インフルエンサー施策に強みを持つ会社です。ホテル・観光・自治体の映像制作から、Meta広告の運用までを同じチームで担当しています。制作だけのご依頼も承ります。ご相談はお問い合わせページからお願いします。